メールは死ぬのか2005/11/22 08:52

Datula が終了したらしい。

うちの嫁さんが木立朝鮮朝顔をみて「ダチュラ」ではなく「タランチュラ」と口走った,その Datula である。いや,違った,メーラー兼ニュースリーダである Datula が,長い開発停止期間を経てついに販売も打ち切ることになったそうだ。

初めて触った SMTP/POP3 クライアントは Winbiff だった。その後すぐに Al-Mail に移行し,またすぐに Emacs + Mew へ乗り換えた。その後長く Mew での生活が続いていたが,今年になって IMAP 化の波に抗いきれず,某社製 Web メールインタフェースと Thunderbird を気分によって使い分けている。Datula や電信 8号,Becky! などが出てきた頃には既に Mew を使っていたので,残念ながら Datula はテスト目的以外で使ったことは無かった。したがって Datula の販売が終了したといっても,個人的に実害は無い。

個人的に実害は無いとはいうものの,一抹の寂しさがある。

かつて,まだ NTT のドメインが ntt.jp だった頃。Netscape の Windows 版がフロッピーディスク 2枚でインストールできた頃。sendmail を SunOS/Solaris に導入するために libresolv.[a/so] をコンパイルしなければならなかった頃。trumpet や Chameleon という名前がまだ生きていた頃。日本の産業界のインターネット利用がまだ黎明期で,WIDE プロジェクトが燦然と輝きを放っていた,あの頃。インターネットから得られる有益な情報の大半は fj からで,仕事上のメッセージの交換に電子メールは欠かせなかった。

あれからわずか十年とちょっと。

fj は衰退してウェブベースの掲示板にとって替わられ,もはや Gnus を立ち上げることも無くなった。仕事の要件の交換の大半はメールではなくチャットで行っている。もはやネチケットなどは死語で,わずかに受け取るメールには環境依存文字が溢れているのに,誰も何も言わない。返信に返信を重ねるうちに延々と繰り返すシグネチャに,誰も何も言わない。

Datula の終了がネット文化(?)の変遷を受けてのものではなく,開発者の体調不良のためであるとしても,なんとなーく考えさせられる出来事ではある。

電子メールはこのまま衰退していくのかねぇ。電子メール文化も,このまま消えていくのかねぇ…

開発者のかたの体調が回復することを心から願いつつ。

コメント

_ H2O ― 2005/11/24 00:35

インターネットの急速な発展がもたらす弊害なんでしょうかね。
ピーガラガラとUUCPでネットニュースの配送を待っていた
あの頃。
専用線接続になり電子メールがリアルタイムに受け取れる
ようになったあの頃。
そしてふつーの家庭にFTTHが普及し、もはやビデオチャットが
行われる日常。

# 思った事、感じた事を噛みしめてメールにする事って
# 重要だと思うんですけどね。

商用IXであるMEXがlivedoorに買収されるそうですが
IIJも同じ道を歩んでしまうのか?
いろんな遊び場だったインターネットがどんどん変わっていく
寂しさをちょっぴり感じました。

_ えて ― 2005/11/24 12:28

> ピーガラガラとUUCPでネットニュースの配送を待っていた
音響カプラって,いまでも売ってるんでしょうかね。もう滅びたかな。

IIJ 今後どうして行くんでしょうね?
インターネットもどんどん変遷していきますが,次は何が来るのやら。

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